東京は、スイーツ男子のパラダイスです。いや、スイーツオヤジの天国です。和菓子か洋菓子か、どちらかを選べと言われても、たぶん無理。どちらも大好物なのです。
私にとって和菓子の横綱は、やはり「大福」です。大福の味のバリエーションは、それほど広くなく、塩加減と砂糖の塩梅で決まる。簡単に言えば、甘いか甘くないかのどちらかという選択しかないのですが、これがなかなか深いものがありまして、つぶ餡かこし餡かで好みがまた分かれてきます。
東京広しと言えども、一番大好きな大福は、護国寺の群林堂、原宿の瑞穂と迷うところですが、やはり、虎ノ門にある岡埜栄泉(おかのえいせん)の豆大福。これはボリュームがあって、ひとつ持つと手の中にどっしりと大福の重みを感じ、外は薄皮の餅がもっちもち、餡はこし餡で上品な甘さ加減、豆は大粒な赤えんどう豆が口の中でほど良い触感を誘い、餅・餡・豆が奏でる三重奏のハーモニーがたまりません。また、大福を包むパッケージが、純和風なデザインが私好みで粋なもの。
ここの豆大福は、だいたい午後早目で売り切れてしまうらしく、いつも大人気らしい。場所柄、官庁や大手企業への差し入れによく使われるらしいという噂。お偉いお方も正真正銘のスイーツオヤジが、けっこういるのではないでしょうか。
さてさて、お次は洋菓子の王様と言えば、シンプルに「MACARON(マカロン)」ですかね。洋菓子の特徴は、複雑なレシピだけに口の中はチョコ味やフルーツ味のメリーゴーランド状態。様々な味が混ざり合って出来上がり、これはひとつのアートととも言える芸術作品。和菓子にはない感動が味わえます。
和菓子は「癒し」、洋菓子は「パッション」といった感じでしょうか。
私のお気に入りのマカロンは、マカロン発祥のお店、パリ本店で食べた「ラデュレ」と言いたいところですが、やはり食べ慣れている「ピエール・エルメ」のマカロンでしょうか。
マカロンって、洋菓子屋さんだったらどこのお店でも作られていると思いますが、それぞれの味のどこに違があるのかと言われても、はっきり言って難しい。一口噛んだときのサクッとした食感と、口の中で広がる様々な味の何に違いがあるのかと聞かれても、これまた困ってしまいます。
ここで、私ならではの見解を言わせてもらいますと、マカロンの美味しさは、味そのものは各お店独自のものはあると思いますが、お店の持つ「背景」も、とても重要だと考えます。
これは、ワインの銘柄にも似ているものがありまして、同じ価格でフランスボルドー産のワインと山梨県産の国産ワインをブラインドテイスティングした場合、どちらも芳醇で美味しく、普通の人ならわからないレベルなんですが、ラベルを見せるとフランスワインを選んでしまうブランド志向。まさに、マカロンも本場パリのお洒落なお店が作るものは、きっと美味しいと思い込んでいる節がある自分がいるのでは。
エルメのマカロンは、背景だけでなく味も素晴らしいのですが、商品しかり人間しかりです。味も人も「背景」となる「伝統」は、日進月歩に磨かれ受け継がれ、そして人々に愛されてゆくものなんです。
たかがマカロン、たかが大福ではないんですね。マカロン様・大福様ありがとう(笑)。
今回のテーマは、『男スイーツライフのすすめ』と云った、「男磨き」からちょっとハズレちゃいました・・・・(笑)
添付写真: 岡埜栄泉(虎ノ門)の豆大福とピエール・エルメのマカロン(中央、緑のピスターシュが安本おすすめ!)
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