VOL .18 [モデルという職業] 2010.06.20掲載

今回、はじめてのカテゴリー・テーマ『仕事』について熱く語りたいと思います。

読者の中には、男女問わずモデルの方もいらっしゃると思いますが、何かの参考になるかもしれませんから、最後まで読んでくださいね。

私は、普段の読書のジャンルには、結構ビジネス書や自己啓発ものが多く含まれています。というのは、モデルの仕事をある意味、営業職(セールスマン)と考えているからです。この考え方は、モデルを始めてから一貫してきたものです。

それはモデルを始めた頃、ある先輩モデルから「いいか、モデルというのは所詮、商品に過ぎないんだぞ!」と言われ、まるで使い捨てのモノ扱いの様に言われたことがありました。その言葉は、自分の代わりになるモデルは他にもいるという意味で、今でもおおむね間違ってはいないと思っています。

それからというものは、モデルという商品(自分)をいかに魅力ある商品に変えて、お客様(クライアント)に売ろうかとこれまで考えてきました。だって魅力ある商品の方が売れるというのは当たり前のことです。その為の読書でもありスキル磨きでもあったのです。

私は、自分の中でモデルという商品(自分)をよく果物に例えています。果物の中でも、とてもデリケートな白桃やイチゴなど、表面が少し傷ついただけでも商品価値が落ちる種類のものです。そのデリケートな果物を扱うイメージで、体調管理・体型維持・スキンケアに神経を配り、新鮮な果物づくり(コンデションづくり)に励んできました。

また、果物の味や中身に対しても、酸っぱかったり腐りかけていたら当然売りものにはなりません。果物には、常に甘さと鮮度が要求されるのです。それをモデルのキャラクター(持ち味)に置き換えるならば、「見た目の透明感」ということにこだわったのです。どんなものにも染まる自分でありたいと心掛けてきたのです。

この透明感とは、非常に抽象的なことなんですが、考え方や物事の捉え方のスタンスをいつも中立(ニュートラル)に置くようにしています。あまり好き嫌いを見せず、すべては長短所を持ち合わせていることを踏まえ、まず、念いから透明にしなければならないと考えたのです。モデルは、いつも撮影で組む商品と自分をフィットさせる、柔軟な対応をクライアントから求められているのです。それは、言い換えれば、「色のついてないモデル」こそが長く多くの仕事をやって行くコツとも言えます。

また、このホームページ開設のきっかけとなったのは、あるヘアーメイクさんから投げかけられた言葉「僕たちの仕事は、見られてなんぼ!知られてなんぼでしょ!」の一言に触発されて、アナログ人間であった私の重い腰は上がり、現在に至ったのであります。

今やモデルが発信するブログなどは、制作側の使い手からしてみれば、その人となりがよく理解できるひとつのツールとなりました。だってスーパーマーケットに行けば、野菜に生産者の顔写真と産地情報まで付けている時代です。これからの流れは、使われる側の「背景づくり」(経歴・キャラクター紹介など)が必要不可欠であるのです。最近のタレント事務所では、事務所主導で半強制的に所属タレントにブログを書かせているのも、その表れではないでしょうか。

私は、これからの厳しい時代にモデルが生き残るには、更にもう一歩進んだ考え方をイノベーション(意識改革)していかないと、生き残っていくのは難しいと考えています。それは自分をいかにプロデュースするかという能力も磨いていかないとならないということです。

また、所属事務所とモデルの関係は、相互のポテンシャルを上手く引き出し合ってこそ、いい仕事が舞い込んでくるものです。所属事務所任せのおんぶに抱っこ状態では、これからは大変になってくるのではないでしょうか。モデルという職業は、確定申告の上では立派な自営業者ですからね(笑)。

これからも「モデル地位向上委員会」の会員として、励んで行きたいと思います。おいおい、そんな委員会どこにもナイナイ!!(笑)


添付写真: いつもお世話になっているクライアントスタジオでの撮影風景 (Photo by TARO)

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Written by Yasumoto Takashi

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