『やっさん、カッコイイって何』…この言葉は、もう10年以上も前のことでしょうか、モデルの大先輩であり、素敵なパフォーマーでもある北上純さん(TYCOON MODELLING AGENCY 社長)から、私に投げかけて頂いた言葉なんです。
皆さんも長い人生の中で、ある人からの言葉や書籍で目覚めたり、ハッと気づかされたり、心を揺さぶられる時が何度かありますよね。この言葉は、まだまだ未熟者の私に、北上さんが問いかけてくれた頂門一針の言魂(ことだま)だったのです。
北上さんとは、今でもご一緒に撮影のお仕事をさせて頂き、撮影現場では映画や音楽など、多くのことを学ばさせてもらっています。モデル業界の素晴らしい先輩方々の中でも、北上さんほど強烈な個性といった「自分スタイル」を持っている方は、そういません。プライベートファッションからモデルポージングまで、ウィットに富んだ魅力溢れる方なのです。この前、撮影スタジオでお会いした時には、インディアンの様な派手なアバクロの帽子を被ってのファッションが、とても印象的で茶目っ気たっぷりな出で立ちでした。
さて、「カッコイイって何」の北上さんからの答えなのですが、それを言ってしまうと野暮になりますから、これは私と北上さんだけの秘密にしておきます(笑)。
ここでは、「カッコイイとは、どおいうことか」という狭義の世界での、私なりの解釈をお話させていただきます。
私は、美意識という言葉が好きで、会話の中でもよく使っています。カッコイイという言葉を紐解くには、その人が持っている「美意識」に関係があるのでは。では、美意識とは一体何でしょうか?どんなものなのでしょうか?
例えば、美しい大自然の絶景を多くの人が見て、感動なり何かしらの衝動に駆られ、心を揺さぶられる瞬間があります。その景色を見た多くの人の中には、これまでに様々な境遇や経験を経て、善人となったり悪人となったり変人(?)のような人たちがいるでしょう。なのに皆が心境の違いはあれど、同じように感動したり美しいと感じられるということは一体どおいうことか?
それは、私たち心の中に共通のセンサーが備え付けられていると考えられます。誰もが美しいと感じ取れるセンサーです。美意識とは、そのセンサーのことをいい、センサーの感度を上げるには、たくさんの美しいものを見て経験して体験して、自分の引き出しに仕舞っておくことです。私たちの美意識は、先天的に生まれ持ったものや、後天的に育った環境で培われたり、努力して身につけたものとの総合的才能で出来上がってゆくのだと思うのです。
モデル事務所のマネージャーさんが新人モデルに、一流のモノ(装飾品・洋服等)を身に付けなさい、一流のレストランで食事をしてみなさい、一流の人と会い話を聞きなさいとよく言ったものでした。それはちゃんと理にかない、「朱に交われば赤くなる」という諺の通り、いいものに触れることで、モデルに必用な技術や身のこなしといった美意識が磨かれるものと理解できます。
要するに、何がカッコイイ、何がカッコ悪いかと言いますと、表現する人の美意識(センサー)が働き、その人のフィルターを経て、伝える相手もお互いに心地よく、楽しさを共有できるWIN-WINの関係になるということがカッコイイのであって、カッコ悪いとは、独りよがりのパターン(WIN-LOSEの関係)に陥っている状態のことなんでしょうか。
モノを創作するクリエイターや料理人、芸術の世界で生きる一流と呼ばれている人たちは、みんな同じ「道」を試行錯誤を繰り返しながら辿り、いいものを創り上げているのではないでしょうか。
また、カッコイイ人というのは、いつも志を高く持ち、自分ならではのスタイルに拘り、何かに楽しんで取り組んでいる姿を私は想像します。
添付写真: 沖縄の碧い海と澄んだ青空の中で、今回のテーマを想いついた(沖縄ザ・ブセナテラスにて)
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