VOL .25 [セレブでなくセノビである] 2010.08.07掲載

昨今、日常に溢れている言葉をピックアップして、独自の視点で切り取るシリーズ、今回のテーマは『セレブ』です。

今や日本国民一億総セレブといった、なんでもかんでもセレブというフレーズをつければモノが売れるんじゃないかといった怪現象。ペット業界にまでセレブ犬が登場するという有様です。

一体、このセレブ現象はどこから来たのでしょうか?セレブという言葉が使われる前は、「リッチ」「VIP」「ハイソ」などという表現だったような気がします。

セレブという言葉には、要人的な特別扱いされた、人の心をくすぐる響きとニュアンスが含まれています。この流れから「セレブ風」とか「プチセレブ」といった、スケール的には小さく自分にも手が届くんじゃないかという錯覚に、日本人は催眠術をかけられてしまったようです。そして、今では、一般に「贅沢」=「セレブ風」といった同義語の様にまで使われています。

セレブの発信源は、1990年代後半から、アメリカ・ハリウッドの芸能人・有名人のライフスタイルや嗜好品に象徴されるように、マスコミによってクローズアップされて出来上がりました。アメリカのお金持ちぷりは、日本でいう億万長者(純資産1億円以上が人口の1%→約100人に1人)というレベルを遥かに超えたものであり、庶民が夢の中でしか味わえないようなことが現実に繰り広げられているのです。

例えば、プライベートジェット機を所有し、何十億もする豪邸に住み、一流メゾンの洋服をラックごと買い占め、スーパーカーを何台も所有したりと、、、それはそれは常人とは思えない消費っぷりなのです。そのハリウッドセレブの流れが日本に渡り、叶姉妹の様な人々まで出現しました。

今、世間では「豊かさ」という概念をお金でしか表現されにくい心寂しい時代になりつつあります。それはとても嘆かわしいことです。しかし、本当の豊かさとは、お金の多寡に関わらず、世間体からも切り離され、自分にとって本当に価値のあるものを手に入れた喜びや幸福感によって、その人の心を潤し、心の余裕となるような、精神に豊かさを求めることが本筋ではないでしょうか。

また、日常の何気ない瞬間(美味しい食事、家族との会話、仕事がある自分など)に豊かさを感じられる自分というのも見逃しやすいですが、大切にしなければと感じます。

結局、人の外見も大切なのですが、同時に内面の充実を喚起させなければ、その人に与えられたモノが高価であっても、猫に小判ともなりかねません。

ところで、私自身、セレブ御用達といった高級嗜好モノには、それ程ご縁があるわけではなく、飲河満腹をわきまえて生活をしている者でございます・・・(苦笑)。それが、ある仕事の関係から、高級ブランド時計の耳寄りなお話を戴きました。今回は何か胸騒ぎを感じ、仕事のスケジュールの合間を見て、期待と躊躇(ためら)いの中、時計売り場へ馳せ参じてしまいました。そして、なんと一目惚れとはまさしくこの事・・・・・。

私にとってこの時計は、まさに「セレブでなく背伸び(セノビ)した」高級ブランドの代物(しろもの)となりました・・・(笑)。そうは言っても、本当のセレブが持つものは、エリートビジネスマンの年俸ぐらいお値段のするものなんでしょうね。

私はここ何年か前からでしょうか、クロノグラフばかりが手持ち時計のラインナップを占める中、落ち着いたシンプルな文字盤でありながら、少し遊び心のあるものをひとつ加えたいと思っていた所でした。このような高価な買い物は、タイミングやご縁が大切と常日頃思っていましたので、今回はいい機会となりました。

この時計は、これから私の良き相棒として、パーティーやレセプション等で私の片腕となって大いに活躍してくれることでしょう。私の左腕に収まったこの時計を見るたびに ”名品に出会えた悦び” を抱かせて貰い、時計ブランドに相応しい大人の男になりたいと、更なる自分磨きを誓うのでありました・・・(苦笑)。


添付写真:時計のネーミングは「SUNSET」。 夕暮れの空を彷彿させ、遊戯心漂う大人の風格とシャープさを併せ持った顔つきに一目惚れ。GOLD×BLACKのコンビが私の一番好きな配色なのです。(FRANCK MULLER/男性用:トノウ・カーベックス サンセット)

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Written by Yasumoto Takashi

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