VOL .26 [クルマというステイタス] 2010.08.14掲載

今回は読者さんからのメールで「安本さんは、クルマが似合いそうなんですけど、クルマには興味はないのですか?」というリクエストを頂きました。ということで、今回のテーマは、男のステイタスとなる『クルマ』についてです。

男磨きを語る人間が、今まで何故クルマについて触れなかったのか、疑問に思った方もいたかもしれませんね。

とりわけ車に乗っていない訳でもありません。基本的にクルマは好きな人間でして、日本で走っている車の車種(名前)は全部知っている位の情報量はありますが、クルマのメカニックに対しては、あまり造詣が深くないという負い目が多少あったのかもしれません。

私は、クルマメーカーのお仕事を毎年のようにやらせて頂き、モデル安本というカラーは、クルマのイメージに合致するようです(自分で言うな!笑)。これはとても光栄のことと感謝しております。

私の所有する車の紹介をしたいところなのですが、あまり詳しいことは私の仕事に差し支えますので言えないのです。が、現在はハイブリットカーを一年程乗りはじめ、その前はBMWを8年程乗っていました。ハイブリッドカーに乗り換えた理由は、前車の車検の見積を取ったところ、かなりガタがきていまして、車検費用の提示に愕然。なら乗り換えたほうが得策と考え、今に至ったのであります。

人とクルマの関係は、世界共通にその人のステイタスを表わすひとつの象徴でもあります。日本人男性は、「家」「車」「時計(宝飾品)」「学歴」等にステイタスシンボルを求めてきました。

男にとってクルマとは、大人の遊び道具、自分のステイタス、走るプライベート空間、運転がストレス解消などなど色々な表現で語られています。また、昔からライフスタイルを提案する男性雑誌などが謳う、伊達男の三種の神器には、「車」「時計」「女性」と言われています。確かに、男が出世して稼ぎ(収入)が増えたり、急に大金が手元に入ると、この三つのどれかに走ってしまうというのが相場のようです。男という生き物は、どうしてそうなのでしょうか(笑)。

最近読んだ本『お金が“いやでも貯まる”5つの「生活」習慣』(トーマス・J・スタンリー著)の中に、アメリカ人の本当のお金持ちの多くは、ベンツやBMWといった高級外国車には乗らず、日本車を好むという調査がありました。嬉しくなる話です。全体的に日本車は、故障もなく性能もいいという信頼のイメージがあるようなのです。また、著者の言葉には「高級車のアクセルは幸福のスピードを上げない」というくだりがありました。キツイところ突いてきますね~(笑)。アメリカ人の本当のお金持ちは、クルマに自分のステイタスを求めないで、実に質素な生活を送っているという興味深い内容でした。

そう考えますと、灯台下暗しというのは語弊があるかもしれませんが、日本人は、華やかな職業の人や高所得者ほど外国車を好む人が多いようです。「腐っても鯛」ではありませんが、腐ってもベンツ的な外車神話(価格は国産車より高く、高出力/高排気量エンジンやスタイリングは、国産車より優れステイタスがある)が、未だに残っているのでしょうか。確かに、日本国内の高級車市場の現状を見渡せば、外国車のラインナップの充実やスタイリングの洗練さ、エレガントさを比べると、やはり外国車に流れてしまうのも無理もない気がします。

日本のクルマ産業は、戦後から現在までずっと日本の高度経済成長を牽引してきた最大の立役者です。そして、クルマの未来は、今、大転換期を迎えようとしています。ハイブリッド・電気・水素車の台頭で世界のクルマへの価値観が変わりつつあります。環境や経済観念への意識の変化ともいいましょうか。

今、世界を見渡したら、これから更に発展する地域がたくさんありますから、人とクルマのモータリゼーション(クルマの大衆化)は、まだまだ終わりはないようです。日本がこれから更に発展を続けるには、世界に誇れるクルマづくりという、スペードのエースのカードを切り続けなければならないのでしょうか。

私たち日本人は、世界トップクラスを目指す環境先進国に暮らす以上、どのように交通手段やクルマのエンジンシステムが変化しようとも、やはり“クルマというステイタス”は消滅させずに残していかねばならないのでしょう。そう、ステイタスは人を駆り立てる原動力でもあるのです!


添付写真: モデル撮影で訪れた家具ショップSERVEのスタジオに、オーナーの1969年式メルセデス280SEクーペが佇む。ビンテージカーをさらっと気軽に乗りこなす、オーナーこだわりの美学がそこにあった。

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Written by Yasumoto Takashi

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