VOL .43 [ミリタリーとは何ぞや] 2010.12.09掲載

ファッション業界では、今年もミリタリー旋風が吹き荒れています。メーカー独自のミリタリー風デザインを数多く打ち出し、迷彩柄やミリタリーグッズが目を引いています。その影響もあってか、毎年着々と自分のワードロープにもミリタリーアイテムが増殖中。そこで、今回は『ミリタリー』について自分なりの視点で迫ってみようと思います。

ミリタリーファッションの歴史を紐解いてみれば、反戦思想に始まったヒッピースタイル(1960年代)に原点がありました。当時、ベトナム戦争でのアメリカ軍の放出品(サープラス)を、彼らは反戦の意味を込めて、ファッションという形に変えて訴えていたのです。

その流れが日本へと渡り、ミリタリーはジーンズファッションの大流行にうまい具合に組み込まれ、“アーミールック”という愛称で親しまれたのです。アーミーとは、もともとアメリカ陸軍を指す言葉なので、現在では多国籍軍があるように、軍モノ全体を“ミリタリー”と総称して使われるようになったと思われます。

ミリタリーファッションをどう見るかは人それぞれであって、オシャレな幾何学模様の機能服と見る人もいれば、軍人を気取っている人やサバゲーマニア(サバイバルゲームマニア)風といった人もあり、十人十色といったところです。

私自身、小学校高学年(10歳)から大学2年(20歳)の10年間、学校の部活という体力的に厳しい環境にどっぷりと身を置いていた経験からか、ミリタリーは規律正しい軍隊の“鍛えられた男”のハードなイメージと、“エコロジカルな緑や森”のイメージがミックスされた微妙な感じ。ちょっと異端的アンバランスな感覚なんです。

高校時代は、名門野球部に所属し、激しい運動量をこなしながら毎日往復2時間(約40km)の自転車通学を3年間続け(静岡高校時)、大学の二年間は起床時間朝6時、消灯時間夜9時と軍隊並みの規則が厳しい寮生活(日体大男子寮)でしたので、体育会系の習性が今でも染み付いており、歳がひとつでも目上の人に対しては、無条件で敬服してしまいます(笑)。ま、そんなところから、ミリタリーのハードなイメージに共鳴する理由があるのかもしれません。

エコロジカルなイメージというのは、やはり迷彩柄(カモフラージュ)からくるもので、もともとは味方の隊員が森の中に潜み、敵に見つかりにくい模様として作られたので、木々の模様に似ているのです。なんとも可愛らしい柄にも見えます。

昨今、市販されているミリタリーアイテムは、ジャケット・コート・パンツ・ブーツ・バック・時計などと多岐にわたり、ファッショニスタのハートを放しません。ミリタリーは元来、戦争用に国を挙げての機能重視で開発された製品なのですが、今や世界中のファッションデザイナーの手によってモダンに昇華されました。近年のミリタリー流行ファッションの代表選手には、カーゴパンツ・MA-1・Pコート・ダッフルコート・トレンチコートなどがあります。

ミリタリーファッションを楽しむキッカケには、仮想世界(ゲーム)から入るのもよし、映画スクリーンの主人公になるのもよし、それは個人の自由であります。ファッションとは、自分の好きなアイテムを身に付けて“心地良さや楽しさを感じられること”が、ファッション=オシャレをすることの原点だと私は思っています。

今の平穏な時代、ファッションに時代背景や思想を持ち込むといったメッセージは、あまり必要ないようです。思うがままに、感じるがままに、オシャレを楽しみましょう。


添付写真:愛用するミリタリーアイテムの一部です。

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Written by Yasumoto Takashi

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