VOL .46 [日本の美意識を世界に] 2011.01.02掲載

   『 2011年 新年明けましておめでとうございます 』

いつも「男磨きのすすめ」をご愛読して頂き、誠にありがとうございます。

おかげさまで本コラムも新年を迎えることができました。ひとえに皆様の御支持あればこそでございます。

今年も皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

2011年安本卓史のテーマは「おもてなしの心」です。今年は積極的により多くの人と出会い、語り、心をふれ合わせてゆけたらいいなと思っております。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

2011年  元旦


ごあいさつはこれくらいに致しまして、今年最初のコラムは大上段に構え、正月らしいテーマ『日本の美意識』について考えてみました。

芸術とは本来、神や仏の偉大さをこの地上に具現化しようと、あらゆる分野の智者・芸術家たちが、人類史に連綿と名を連ねてきました。それは、人種や国籍、性別すら関係なく、ただただ天の使いの如く、各個人の才能を十二分に発揮しているかのように感じ取れます。

とかく、日本の美とは何か、言葉で表現せよと求められた時、誰もが口を揃えて「侘寂(わびさび)の世界」と言いがちではありますが、私自身、本当のところよく分からない部分がたくさんあります。まあ、一言で言い表すというところに間違いがあるのかもしれません(笑)。

では、その「侘」(わび)とは何か。美の本質を外見の豪華さに求めるものではなく、内面から醸し出す美を尊ぶ精神的なものであります。

「寂」(さび)とは、より自然に近づいているものが尊しと考え、仏教精神からくる諸行無常観を前提に、朽ちていく様の中に美を求めたものであります。本来は、この二つは別のものとして扱われていたのですが、現代では一緒に言われる様になってしまいました。

現代は、科学技術の進歩により、侘寂(わびさび)の世界が遠い昔のもののように葬りさられようとしています。それは、あたかも科学が万能かであるかのように。しかし、ちょっと立ち止まって考えてみてください。日本の四季折々の自然風景から生まれた数々の芸術は、日本人の美意識の土台となって、繊細な情緒が表現されています。この「繊細さ」こそが、世界に誇れる日本人の美意識の原点ではないかと思うのです。

旅館やレストランでのおもてなしや接客術、自動車や家電製品にみる充実した機能性や装備、食品類にみる顧客ニーズへの多種性などなど、日本の“物づくりの精神”の中には、しっかりと日本人の美意識が植えつけられています。そおいった“きめ細やかさ”こそが、日本人の特性ではないでしょうか。

然るに、現代の日本人像に置き換えてみたらどうでしょうか。現代は美容技術の発達もあり、老若男女とも歳より若く見られるのが、至上命令とされているようにも映ります。現に私もその流れは否定はしません。人が見た目より若く見られることでの恩恵は、確かに沢山あるとは思います。しかし、今の日本人は、歳の重ね方が外国人と比べると、どうしても稚拙に見えてしまいます。

本来、日本人の特性から言ってもエイジングの概念は、仏教や日本神道の中にある寛容の精神にあります。加齢に対して寛容な姿勢で受け入れることは、侘寂(わびさび)の精神に通じる無為自然の法則に抗わず、ただ身を任すものが美しいとされていたのです。自分の体の衰えを素直に受け入れることが、本当の美意識に通じるものなのかもしれません。

「アクセプトエイジング(accept aging)」という言葉があります。年齢相応とも訳されますが、加齢を素直に認め、受け入れる気持ちを肯定的にすれば、人は自ずと自信をもって輝けるものと、私は信じます。

2011年も美しい日本文化と共に、日本人であることを誇りとして、もっともっとその自覚を強く持ち、世界のリーダーとなる日本人がひとりでも多く輩出されることを願う一人であります。


添付写真:2011年元旦に、日本の象徴でもある富士山と一緒に記念写真。

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Written by Yasumoto Takashi

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