VOL.81 [安本美学とは] 2012.10.17掲載

「秋:Autumn」と言ったら皆さんは何を連想されますか。読書・芸術・収穫・食欲・運動・ダイエット?…色々と頭に浮かんできます。全てに共通することは、まだ記憶に新しい夏の過酷な猛暑が終わり、過ごしやすい気候からくるカラダや脳の生理的作用が深く関係しているのかもしれませんね。そうだ、「浄化の秋」というのもあってもいいかもしれません。

今回は、デザインモノを中心に、美しいモノを見る、美しいモノを感じ取るとは、一体どおいうことなのかを、芸術の秋にちなんでテーマとして考えてみようと思います。

誰もが性格や気質が違うように、好みやセンスも十人十色、いや、千差万別と言ったほうがピンとくるかもしれません。そして、その人独自のルールなり、ツボ的な要素は誰にでもあります。えっ、ない!という人は、ロボットかサイボーグかもしれませんね(笑)。

そこで今回は、僕なりのルールをご紹介します。僕は特にデザインものが好きなので、洋服・靴・鞄・クルマ・メガネ・サングラスなどを通して、色々と自己分析や精査した結果、それぞれには様々な共通点を見出すことができました。
 
 
1)デザインは主張し過ぎてはいけない(シンプルでありながらも、どこか尖がりは欲しい)
 
主張(アピール)しないでは何も伝えられない!という見方もあるでしょう。ガツガツ感と控え目過ぎる間の微妙な距離感が僕には心地良いのです。決してファジーで自分軸がないということではなく、マキシマム(万人)に対応できる力がデザインに備わっているということなのです。


2)色彩にはパワーがあり、しっかりと意味合いを把握すべし

自分カラーという主軸を持ちながら、自分の好きな色彩の幅を広げるということは、生活やお洒落を愉しむ振り幅とイコールなのかもしれません。色によって気持ちが癒されたり、活力をもらう効果は否定できません。今の心境に応じた色彩選びを心掛けています。

参考コラム:VOL .67 [色を操れば、洒落者への近道]


3)あらゆる要素がミックスされている
 
特に素材的要素の意味合いが強いのですが、例えば、「皮革と繊維」「メタルとプラスチック」といった異素材の融合によって生み出されるものが、新たな落ち着き感を生むことは多いのです。そんなデザインに癒されることが多々あります。


4)存在自体が美しい(使用する前にすでに美しい存在)
 
よくメガネや洋服を選ぶ時に感じることなのですが、メガネを掛けてみる前にすでに似合うと分かる感覚。また、服を選ぶ時、袖に手を通す前に似合うだろうという感覚のことです。そのモノ自体が放つデザイン力は、作り手(デザイナー)のエネルギー量や作業している心境が影響すると考えます。コンディション(精神状態)がいい時に作られたものには、独特のオーラや華やかさが備わっています。


5)高級なものには、きっと訳がある

時々、懐具合関係なしに鼻から高級なモノに目を背けたがる人がおりますが、高級品や一流品、ハイブランドと呼ばれるものには、必ず高価という理由があるはずなのです。そのことを肯定しないと決して本物の価値というものは理解できないと思います。高付加価値の探究は、本物を見抜く目を養い、玉石混淆時代を生き抜くセンス磨きになります。


「真善美」という言葉をご存知でしょうか。僕的には「究極のカタチ」と捉えています。「真」それは真に使う人に役立つのか。「善」それは偽りのない心(いいものを作りたいという心)で作られたのか。「美」それは誰が見ても醜い姿であってはいけない。ここに介在すべきものは第三者の存在です。自己満足、自己完結で終わらない広がりを持つことによって生み出されるもの。この方向性で作られたものには、多くの人々から愛されるという恩恵が与えられると、僕は常々信じています。

でも、そんな綺麗事ばかりでは、現代の多様化する価値観に対応しきれないジレンマも残ります。そのすり合わせがまた楽しくもあり、悩めるところでもあります。だからデザインは面白いのですね!世の中に溢れているヒット商品を、そんな観点でもって眺めてみると、また違う再発見があるかもしれません。
 
また、「動き」といった動作や変化、イノベーションする中に、諸行無常的な美学を見出すことがあります。ファッション・エイジング(加齢)・組織・思想・自然といった森羅万象、移り変わる過程を素直に肯定すれば、美は顕在化され発見することが多いと考えます。

今回は、デザインという狭義の世界から、ちょっと概念的なお話に広がってしまいましたが、理想を追求したがる僕には心地良いテーマでありました。分かりずらかったらご容赦下さい。


添付写真:僕の主軸カラーはブルー。そして、トレードマークはメガネや帽子。

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Written by Yasumoto Takashi

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