VOL .24 [ワインとファッション] 2010.07.31掲載

私がワインに興味を持ち出したのは、もう12~3年ぐらい前からだと思います。ワイン愛好家とまでは言わないにしても、自宅にワインセラーを備える広さがない為に、民間のレンタルセラーサービスを行っている会社に委託して、ワインを30本程預かってもらっています。

最近はワインの高騰もあり、いいワインに手を出せない状態です。ワインの値段が急に上がり始めたのは、2000年以降に始まり、中国人やロシア人のバブルに伴う買占めに始まったと聞いております。

今では自分の所有ワインは、当時の買い値の3倍~5倍に膨れ上がり(現在1本2万~3万)気軽に飲めない代物となってしまいました。好きな銘柄は、フランスのボルドー地方で作られた正統派ワイン。第1級のシャトー・ラトゥールは、とても高くて手が出せませんので、セカンドワインと呼ばれているレ・フォール・ド・ラトゥールを中心に、他にも有名シャトー処のワインをプルムール(市場に出回る前に早買いしておくこと)でお手頃価格で集めています。

ところで、皆さんは、高級ワインと言えばどんなシチュエーションを思い浮かべますか?「ソムリエのいるレストラン」「特別なディナー」「蘊蓄(うんちく)好きな人」「銀座のクラブ?」色々なイメージが浮かびますよね。やはり、お洒落な社交場的シーンになり、仕切りが高くなるイメージになります。

私の高級ワインに対する概念は、「ブランド嗜好」といった洋服やファッションを楽しむ感覚に近いものがあります。それは前から感じていたのですが、ワインとファッションとは何か共通するものがあると常々思っていました。その事を今回のテーマとして、お話したいと思います。

例えば、レストランで高級ワイン(2万円以上)をオーダーする人は、そう多くは見かけないものです。やはり、それなりのレストランに限られてしまうもの。そのお客様の心理を探るとするならば、まずは確実に美味しいワインを飲みたい、ここの料理に負けないものを、場に花を添える意味での記念に、自分の財力誇示といった見栄張りさんなどなど、色々な思いがあるとお見受けします。

そして、こおいったお客様に、ソムリエが「実はお客様、とても安くて高級ワインと間違えるぐらい美味しいワインがございますが、どうなさいますか?」と言われたら、どうしますか。たぶん、余計なことは言わなくていい!とほとんどのお客様は思うでしょうね。美味しくて安いワインは、自宅に帰ればいくらでも飲めるのだから、今はそんな野暮なことは必要ない!君は、この店のワインリストの中で、私にピッタリ合うワインを選んで蘊蓄を語ってくれれば、それでいいんだよ!と、そんな声が聞こえてきそうです。

極端に言えば、高級ワインとは、そのようなお客様相手のもので、雰囲気に華を添える役割が強いものだと思います。失礼、当然ワイン好きのお客様もいることでしょう(笑)。

ワインには各シャトー銘柄のラベルが貼られているように、ファッションブランドにもロゴマークやブランドデザインというものがあります。このふたつは、とても似ている関係性を持ち、無名シャトーと無名ファッションブランドは、1000円前後のデイリーワインとファストファッションの関係に置き換えられ、逆に有名シャトーと有名ファッションブランドにも、同じことが例えられます。しかし、無名の中にも良いものはいくらでも眠っているのです。

私が何故ワインに興味を持ち始めたかと言いますと、美味しいワインを自分のセンスで選べる知識をそこそこ持っていれば、何もレストランに行って流通価格の3倍~6倍もの価格を乗せてワインを飲むのではなく、お店には置けない自分の好きなワインを持ち込んでしまえ!(持ち込み料は支払います)という、辺幅修飾を嫌う自分の性格からなのです。この考え方には、異論反論もありそうですが、正直それがきっかけだったのです。そのお陰で、今では多少なりともワインの良し悪しぐらいは、判るようになりました。

ワインとファッションは、T・P・Oに合わせて気軽に楽しんだり、盛装したりと非常に使い方が似ており、その人の選ぶセンスによって、味わいや印象度も大きく左右するものです。この二つには、上手く使いこなすところに、大人ゴコロを擽(くすぐ)るツボがあるのでしょうね。奥の深さを感じます。

ワインに興味がない人も、大人の男として、ワインの基本知識とマナーぐらいは身に付けておいてもいいかもしれませんね。しかし、蘊蓄は勘弁してください(笑)。


添付写真: アンティークチェアーの上には、昨年開けたCOS1999年ビンテージの空瓶(おいしかったっす!)

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Written by Yasumoto Takashi

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