VOL.106 [生涯、本物を求めつづける] 2014.12.31掲載

genuine現在放映されているNHK連続テレビ小説『マッサン』はご存知だろうか。国産初のウイスキー誕生に尽力され、生涯に渡り本格ウイスキーを日本に根付かせた一人の男の物語である。長編ドラマ全150話のうち現在78話まで終了し、年明けは第2週目の月曜から再開する予定となっている。

ドラマ・マッサンを観ていると、無性にウイスキーが愛しく思い、飲みたくなってくるは僕だけなのか。いや、そんなことはない。世間ではドラマがウイスキー人気の牽引役となっており、近頃では我が家にも二銘柄のウイスキーがストックされるようになってしまった(笑)。ひとつは国産ウイスキー「サントリー山崎12年」、もうひとつはスコットランド産ウイスキー「マッカラン12年」。どちらも日本人に人気の高いウイスキーであり、サントリー山崎12年は現在では品薄状態が続き、定価での入手は困難らしい。飲み方はロックでいただくことが多く、バカラのロックグラスの中で氷とグラスが奏でるカランカランという音が、なんとも一日を終わらせる労いの合図ともとれる心地良い響きである。また、時間と共に薄まりながら、ちびりちびり味わって飲むのもまたいいではないか。

さて、我が家のウイスキー話はそれぐらいにして、現在ドラマでは主人公マッサンが本格ウイスキーをつくりたいという信念と情熱が試されている時期でもある。先述の通り、現在はドラマの中盤にさしかかり、マッサンこと竹鶴政孝(ニッカ創業者)と鴨居の大将こと鳥井信治郎(サントリー創業者)が、喧々諤々とお互いの意見が対立するシーンが多かった。当初は潤沢な資金力で、国産初のウイスキーづくりに懸ける二人の情熱は一致したように見えたのだが、品質に対して時の社会情勢(不景気)に翻弄され、マッサンの職人気質目線と大将の経営者目線との相違で徐々に亀裂が生じはじめていってしまったようだ。

そもそも不景気の煽りで出荷を前倒しすることになり、本格ウイスキーに必要な熟成年数が足りないまま発売された国産初のウイスキー(現サントリーホワイトの前身)は、期待に反して全く人気が出なかったようだ。これには味に対してのマーケティングが甘かったといえばそれまでだが、それに加え、マッサンの拘る本格的な味を追求するがための失敗だったのかもしれない。その後は、日本人の舌に合わせた味に改良されたようだが、ここにはウイスキーを世に広めるために二人の男の激しい葛藤があったと想像できる。

人は何か事を成し遂げようとする時、得てして目の前に何らかの障害が立ちはだかるものである。丹念に育て上げ、実る果実が大きければ大きいほど必然的に現れるものなのかもしれない。そして、その障害をどう乗り越えてゆくのかが肝心であり、失敗をしっかり分析して、次に繋げてゆくことが大切なんだと思う。

今後のドラマの舞台は、世話になった大将とは袂を分かつことになり、本格ウイスキーづくりの新天地・北海道に移ることになる。また、国際結婚という大きな壁を乗り越え、夫を支え続ける最愛の妻エリー(実名:リタ)もマッサンにとって、かけがえのない存在となっている。ともに同じ夢を抱き続けた彼女の存在なしには、夢の実現は成しえなかったかもしれない。その苦労はいかばかりだったかと胸を打つ。

ひとりの男の夢に多くの人々が関わり、みんなで夢を追いかける姿は誠に美しいもの。これからのドラマ展開をまた楽しみに、年末年始をウイスキー片手に耽るのもいいかもしれない。しかし、自身あまりアルコールが強くないため、二杯も飲めばソファーに崩れ落ちる撃沈オヤジであります(笑)。

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添付写真:現在、自宅にストックされているウイスキーは二銘柄。他にも飲みたいウイスキーが結構あるのだが、、、笑。

【次回予告】 テーマ:これからはマッチョな時代がやって来る!?(VOL.107)

Written by Yasumoto Takashi

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