VOL .66 [一生もの . . . とは何なのか] 2011.10.24掲載

まずはじめに、今回のテーマ「一生もの」を書いてみようと思いついた経緯を先にお話させてもらいます。

以前、Facebookに自身のリアルクロコのロングブーツを色違いで二足ご紹介させて頂いた時に、こんなにお値打ちで希少素材のブーツには、一生出会うことはそうないのだろうなと判断し、購入を決めたのを思い出しました。現在に至るまで三年が経過しておりますが、その時の決断は間違いなかったと今でも確信しております。

また、最近のあるファッション雑誌に「移ろいの激しいファッションの世界においては、一生ものはないと断言できます。。。」という記事に私は???が付いてしまいました。この意見には賛否両論ありそうですが、今回はここの部分を私なりに探ってみたいと思います。(今回はファッションに関してのみのお話です。)

では、一体、何年間使用したら「一生もの」というのでしょうか。20年、30年、いや死ぬまで。。。まあ、定義はないようなのです。10年も使い続ければ一生ものと言う人もいますから、そこは各個人の感覚に任せられているのでしょう。

率直に言って私は「一生もの」はあると思う派なのですね。しかし、それを満たすには様々な条件がありそうです。

それには定番品(大定番)から著しく外れるものではないということが前提ではないでしょうか。時代と共に変化変容する流行にあまり左右されない、飽きのこない定番テイスト。言葉で言ってしまえば簡単なことではありますが、いざ、洋服だけに焦点を絞り、探そうとしてもこれがなかなか出会うものではありません。時計や靴、小物類に関してはそれほどデザインが大幅に変更するものではありませんから、永く愛用出来るのは理解し易いところではありますが、洋服に至っては余程素材やデザインがしっかり作られていなければ難しいですよね。

事にファッション衣料に於いて「一生もの」に出会うのは至難の技なのかもしれませんが、自分の好きなイメージを強く持たれたほうが出会う確率はグンと高くなるのではないのでしょうか。

私は、洋服に関しては三年以上着倒せば十分元はとれていると考えていますね。その延長上での10年以上同じ洋服を着れていたら、それは正に「一生もの」に相応しい存在だと考えます。

毎年春夏、秋冬の衣替えの季節にクローゼットから洋服を入れ替える度に、洋服アイテムを見て「この服を今年もまた着れるんだな!」という喜びが自然と湧き上がる事が一つのポイントではあります。今年はこの服でどんな着こなしに挑戦してみようか、どのアイテムに合わせてみたら面白いだろうか、などと適応できる不変デザインも重要なポイントです。

また、「一生もの」に成りうる条件には、購入時の価格であったり、市場の相場価格も要素に加わります。買った時のプライスが高ければそれだけ大事にする傾向は人間心理としては誰しもあります。それは自然な気持ちであり、費用対効果という面で見れば、元を取るためには長年使わなければ元は取れません。ブランド品がリサイクルされる所以は、デザイン性も然ることながら、高価なプライス設定にも意味があるのでしょう。

結局、ファッションに於ける「一生もの」とは、自分の価値基準で判断されるものではありますが、目まぐるしく変化し続ける流行を、もろともしない不変的なデザイン性や高級素材も然ることながら、アイテム自体に纏(まつ)わる誕生ストーリーや自分だけのマイストーリーなどがあれば、これまた素敵なアイテムになり得ます。    

さあ、皆さんも「一生もの」の宝探しに出かけてみませんか!あなただけの唯一無二の逸品を見つけに . . . 。
  

添付写真:「清水の舞台」もので思い切って買った、リアルクロコのロングブーツ二足。茶をシーズン始めにまず買い、シーズン終わりのセールで黒を購入。経年する程、希少価値が出てくる高級素材の逸品です。

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Written by Yasumoto Takashi

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