VOL .27 [Made by Japaneseでいこう] 2010.08.21掲載

japanese「Made by Japanese」…聞き慣れない言葉と思われた方も多いことでしょう。Made in Japanなら皆さんよく知っていることと思いますが、簡単に言ってしまえば、「日本人プロデュースの海外進出」ということです。語源は、もともと日本人が、海外で農業技術を広め実践するところから来ているそうで、日本人が海外で活躍することを指した言葉です。

思えば、今から約20年位前に、私はパリコレクションに挑戦した時がありました。それは、ある意味、日本人モデルの海外進出でもあったのです。実際、現地に行ってみたら、世界トップモデルたちの平均身長が185cm~187cmと自分より3cm以上も高く、体格ですでに尻込みしてしまいました。

また、ひとつのメゾンに出られるアジア人枠は、1人~2人といった狭き門に厳しい現実を見たのです。当時は、日本からもパリ・ミラノに日本人モデルたちが進出する最初のブームであり、私もその中に加わろうと自費で渡仏し、何のコネクションもなく自分の所属事務所を探したのでした。最初は、駄目もとで最難関と言われていたパリのNo.1エージェンシーから面接を受けてみようと、当たって砕けろ精神で行ってみました。それが意外にもすんなりとOKをもらい、スタートは良かったのですが、受けるメゾンコレクションのオーディションにことごとく落とされ、なんとか一つだけランウェイを歩き帰国することが出来たのです。

当時を思い返しても、私自身、海外留学も外国人との交流もなく、西洋人コンプレックスが強くあり、東洋人としてのプライドや自信みたいなものがあまりなかったように思います。

あれから20年が経ち、西洋人へのコンプレックスというものは、英語が苦手な以外はほとんどありません。今では日本人としての誇りや愛国心でいっぱいです(笑)。

昨今、日本人の誠実さやきめの細やかな仕事ぶりが海外でも認められ、野球のイチロー選手や松井選手、日本映画界の監督たちに代表されるように、色々な分野で華開いています。

また、学生時代から海外留学やホームステイが一般化され、日本人が海外での視野や見識を広げる機会も増えて、更に日本人のグローバル化が進んでいます。

これからのキーワードは、「Made by Japanese」なのです。日本人がもっと海外に飛び出し、世界に誇れる技術を広めていく時代です。日本人としての誇り、アジアの代表、GDP世界第2位(今年中に3位に後退)としての自信をもっと持つべきだと思います。

GDPでは、これから中国に抜かれても、国民ひとりひとりの生活水準や先進国意識には、まだまだ日本と比較したら隔たりはあります。また、中国経済の凄まじい勢いは、そろそろ終焉を迎えるのではないかとマスコミからも囁かれています。私たち日本人は、アジアの雄雌を決するのは抜きにして、切磋琢磨しながら諸外国と成長してゆくのを願っています。

モデル業界も、これからは変革が進み、内部での統合や廃業が繰り返され、自然淘汰されてくる時代でしょう。私は、日本人モデルが、もっと世界(まずはアジア圏)へ飛び出し活躍してもいいと常々思っています。韓国へコマーシャル撮影に行く折りに、現地のスタッフと日本人モデルへのイメージを話すのですが、日本人モデルを使いたがる韓国企業は、自動車・金融・保険・不動産といった「清潔感」や「エリート志向」のイメージを持つそうです。とても誇りに感じます。

たぶん、多くの中国企業も日本人モデルを起用したいと考えていると想像するところですが、キャスティング業のビジネス整備があまり整っていないのと、過去の歴史的背景が複雑に絡み合っての国民感情と政府の規制が何らかの遅れの原因となっているのではないかと、勝手に推察するところです。

これからも、モデル安本卓史は、日本人モデルの価値創造に、何らかの一役を担える存在になれれば、この上ない喜びです。四半世紀後は、中国・日本を中心に「東洋の時代」と言われています。その架け橋となれる日本人として、今後も志高く、夢大きく生きてゆきたいものです。


添付写真: 20代後半にパリ・コレクションに挑戦した 、若かりし日本人モデルのひとり。この経験は、自分の宝物となった。(襟首がめくれているのは、舞台裏の忙しさを物語る貴重な一枚)

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Written by Yasumoto Takashi

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