VOL .41 [スタバから学ぶもの] 2010.11.26掲載

モデル業界は日本経済の低迷と並行するように、アメリカのサブプライムローン破綻に端を発し、リーマンショックへと続き、現在の民主党政権交代不況に至るまで、乱気流の中を必死に出口を求めて飛び続けている飛行機のようです。一体どこまでこの不況という積乱雲が続いているのか、燃料は大丈夫なのか、乗客の不安は一向におさまらないといった状況です。

時々、事務所マネージャーからの相談に、「今回の仕事のギャラの件なのですが、先方の予算が大変厳しいということで、なんとか値下げを・・・・・・」という話があります。モデル業界もデフレの影響で、ギャラのディスカウントの波が押し寄せているようです。

そんな中、コーヒーのスターバックスは、全国津々浦々と店舗数を拡大し、プライスを下げずに成功しています。その成功の理由に、今のデフレスパイラルから抜け出すヒントがあるのではと考えてみました。

以前からスタバファンのひとりである私は、スタバの魅力とは一体何なのか?どうして、いつも店内は人で溢れているのかを、一度分析してみたいと思っていたのであります。

何年か前にこんな経験がありました。フランスから成田空港に帰ってきて、パリ市民の愛想のなさにホトホトしていた気分で、空港内のスタバに電車の待ち時間にちょっと立ち寄った時、日本人店員のおもてなしの対応と満面の笑顔にホッとさせてもらいました。

スタバの接客は、ホスピタリティー精神溢れるところが最大の武器であります。魅力はそれだけではありません。店内に並べられてあるでっかいソファーや、アートフルなグラフィックデザインの個性溢れる空間づくりもとても和みます。

スタバ商品に至っては、一人ひとりの好みに合わせ、カスタマイズされた多彩なメニュー群をはじめ、コーヒー豆には最高級のアラビカ種(標高900M以上の高地栽培されたもの)を使用し、豆を開封してから1週間以上経ったものは使わずに、挽いた粉には1時間以内に使うという徹底ぶりだそうです(スタバ本より抜粋)。また、全席禁煙のCAFEも革新的で珍しく、スタバとライバルコーヒー店との差別化戦略は、現状を見る限り他社の追随を許さない程成功しているようにも見えます。

ここから学ぶものは、価格を下げずに高付加価値の創造といった魅力ある経営スタイルがあります。安易な価格競争によって、価格を下げるというデメリットには、利益を減らすだけではなく、企業側のプライドも欠落し、品質低下を誘発させ、次へのステップの開発意欲も失ってしまいます。これは、P.F.ドラッカー(世界的マネージメントの大家:2005年没)の得意とするところの、企業の利益は次への発展のための先行投資に回さなければ、衰退の道を辿るということになります。

そこで個人を主体に営業しているモデルは、いかなる仕事に対してもプライドを持ち、スキル(体のメンテナンス・ポージング・雰囲気づくり等)を貪欲に磨き、自己投資に励まなければ生き残れない状況と考えています。そうは言ってもディスカウントの波は、いやおうなしに押し寄せて来ています。このジレンマに迷わされずに、明るい未来社会の景気回復を願って、高付加価値体質を目指していかなければと思います。

要するに、世間がどんなに景気が悪くても、すべての人に等しく景気が悪いということではなく、一部の人たちは必ず発展しているものなのです。その逆境の中でも発展している鍵を探る努力も必要であります。

スタバは日本に上陸して早14年。銀座の裏通りにあった第一号店に始まり、ひとつの外資系コーヒーショップという存在が、たちまち日本にコーヒー文化を根付かせたノウハウ(スタバイズム)を、知れば知るほど見習うものが山ほどあると私は思いました。

これからもスタバファンとして、熱~く見守ってゆきたいですね。


添付写真:自宅での コーヒータイムには、オーガニックコーヒー豆にこだわり、愛用ミルで挽いています。

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Written by Yasumoto Takashi

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