今年の初め頃でしょうか、行きつけの美容室のヘアースタイリストさんに、「ヘアースタイルとは一体何ですか?」と唐突に質問をしてみたことがありました(笑)。
答えは「顔の額縁みたいなものですね」と即答してくれた。この事を以前、自身のブログに書いたのをまだ覚えてくれているでしょうか。
私は、なるほどね!「額縁」とはうまいこと表現されるものだなと感心したのでした。確かに、額縁を決めてから絵を描く人はいませんよね。本来、絵を仕上げてから額縁を決めてゆくものです。ということは、絵である顔を見てから髪型を決めてゆき、顔を引き立てる役割がヘアースタイルにはあるのですね。
実際のところ、美容室に来る多くのお客様は、タレントさんや俳優さん風のヘアースタイルを指定して、自分の顔に合うヘアースタイルを決めているのではないでしょうか。
とまあ、ここまではあたり前のお話だと思いますが、今回のテーマは「ヘアースタイル」。人によってはとてもデリケートな部分でもあり、髪に対する捉え方や見え方には、様々な価値観やこだわりの中に置かれます。また、髪質(細い・太い・濃い・くせ毛・白いなど)や顔のカタチによっても似合うヘアースタイルも限られてきますが、スタイルを自分で決めるより信頼がおけるプロのヘアースタイリストさんのアドバイスが、一番的確なものなのかもしれませんよね。
さて、先述の「額縁」論とは違った角度から、もう少し掘り下げてみたいという衝動に駆られ、今回のコラムに至った訳なのです。
私が日頃から思っていることがあります。ヘアースタイルと洋服のセンスとは、イコールなのか、それとも別物なのか。ファッションという大きなカテゴリーの中での一つではありますが、ヘアースタイルは毎日とっかえひっかえできるものではないだけに、微妙に洋服のセンスとは違う気がします。ある意味「ヘアースタイルとは、その人の性格や心境を如実に表す合わせ鏡」だと思うのです。
おおまかに言えば、ショートヘアーはきっちりとした性格であり、ロングヘアーはこだわりを強く持つ性格であったり、無造作ヘアーには動きがでるので、自由に変えられ自由奔放な性格の持ち主であったりします。
ヘアースタイルは、洋服のセンス(ファッションセンス)よりも、自分のイメージ作りを明確に外側に表現して、周りに与えたい印象の一翼を担っている大切なセルフ・ブランディングの一つなのです。
女性が失恋などした時などに、髪を切ることがよく聞かれます。これは心機一転や気分転換したい気持ちの表れが、そのような行動に移るかと思われますが、髪型を変えるということは、それだけ心的影響力が大きい部分でもあり、周りや自分に対してもアピール効果はかなりありそうです。
要するに、ヘアースタイルとは、大きく捉えると、ファッションツールの中に含まれ、内外に何かしらの感情や感性を呼び起こすツールなのでしょう。その奥には、「私は、こおいう人ですよ」というメッセージ作り(セルフ・ブランディング)が含まれているのです。
たかがヘアースタイルと侮(あなど)れません。靴のお手入れと似ているもので、人が見ていない様なところで、その人がオシャレさんなのか、オシャレさんではないのかが分かってしまいます。髪のお手入れがきちんとしていない人には、オシャレさんはいませんからね。
「神は、細部に宿る」と、ある建築家の名言がありますが、「髪は、細部で決まる」と、ここでは迷言しておきましょうかね(笑)。
添付写真:24年前に初めて「作品撮り」というものを経験した時の一枚。
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