VOL.92 [男のセクシー論] 2013.07.23掲載

sexy先日、新作映画「ローン・レンジャー」を引っさげて世界PRツアーを周っているジョニー・ディップが来日していた。奇妙キテレツな役を演じさせたら世界広しと言えども、彼の右に出る者はいないだろう。そんなハリウッドスターをTV画面で見て、思うことがあったのでコラムのテーマにしてみたくなった。

また、最近の出来事なのですが、僕が通うスポーツクラブに大学一年生のアルバイト・トレーナーが配属された。ヘアーはダークブラウン、肌色は何で焼けたのかは知らないが褐色の好青年だ。今風なイケメンといったほうがいいのかも。彼の眉を見たら、綺麗に整えられているが妙に薄い。若者リサーチを兼ねて、彼に「君を含めて、今の若者はどうしてみんな眉が薄いの?」と挨拶代わりに質問してみた。その時は明解な答えを得られなかったが、彼のファッションリーダーはTVドラマ「ROOKIES:ルーキーズ」で人気が出た“市原隼人”だという。確かに顏の造形や寡黙な雰囲気がどことなく似ている。

今の若者の眉に関して僕なりの分析をすれば、同年代のTVタレントや若手俳優が皆そうしているから、自分もマネしてカッコよくなりたい。また、市販されている男性用美容機器(眉毛カット専用)が市場に流通しだし、誰でも眉いじりが可能になった。しかし、微妙な長さで整えるセンスは、まだまだ習得しきれていない。

最後に、若者男性の美意識が草食男子に代表されるように女性的要素が加わり、メンズ美容のユニセックス化が進んでいる。

「男の美意識」と「女の美意識」は、根本的に“美”に対する姿勢が違うと思う。男性は生まれながら女性を意識しての自分ありきなのだ。どうしたらお目当ての彼女に好かれるかを中心軸に考えている。

しかし、女性は異性にモテたいということよりも、同性の憧れの存在が誕生し、自分磨きに走り出すケースが多い。例えば、自分も松田聖子ちゃんになりたい!AKBに入りたい!といった感じで、異性の存在は二の次なのだ。

また、女性は流行(トレンド)に敏感体質なため、流行美容(メイク・ヘアー・シェイプスタイル)をすることで幸せを感じられ、決まった自分スタイルを持ちづらくしている。さらに、変身願望も若い頃からのメイク術で培っているため、常に新しいものを求める性質を持っている。

それに比べ日本人男性は、流行に敏感とは言えず、お洒落のバリエーション幅が狭い。ここをなんとか広げていかないと欧米人に置いて行かれる一方だ。これからはアジア人に脚光が浴びる時代が来ると思われるので、日本人男性をもっとカッコよくしたいという気持ちが凄く自分の中にある。驕りではなく、日本人に誇りを持ってほしいという思いの一端なのです。

僕が考えている「男のセクシーさ」というものは、女性的な繊細さを持ち合わせることによって表現されると考える。服や小物に鮮やかな色彩を取り入れるのも良し、丸みがかったグラマラスデザインを取り入れるも良し、男感覚と女感覚の割合を7:3ぐらいのバランス配分を意識してみる。ここで誤解されたら困るが、女性的要素を取り入れる感覚とは、計算されたバランス比であり、粋でスマートに表現することがコツなのだ。

因みに、「セクシーさ」と「エロさ」の違いは、品格を保ちつつ、いやらしさを前面に出さない控え目度で峻別されると思っている。このさじ加減(見せる⇔隠す)は本人の美意識に任せられ、受け手の感性によっても様々に捉えられるので、はっきりと白黒つけられるものではないと僕自身は認識している。

これからの時代は、女性の社会進出がさらに進み、性差を越えたファッションやヘアーメイクが登場してくると思われる。それは自然の流れであり、止めることはできない。

「男は中身で勝負だ!」は、ごもっともなお言葉ではあるが “柔和な雰囲気と感覚” を身につけていかないと、今の時代から取り残されていってしまう。


添付写真:新作映画のプロモーションで来日したジョニー・ディップ。男感覚と女感覚の比率が7:3に合致するハリウッドスターである。

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【次回予告】 テーマ:お洒落と経済について(VOL.93)

Written by Yasumoto Takashi

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