今回のコラムテーマは「モダン・ジェントルマン」(Modern Gentleman)、ちょっと聞きなれない言葉かと思われます。
日本ではじめてメジャー広告され、耳に入ってきたのは、1968年(44年前)に発売された資生堂男性化粧品「MG5」のMGが、モダン・ジェントルマンの略ということなのです。
今回なぜこのテーマを取り上げたかと言いますと、メンズライフスタイル誌 [GQ JAPAN] 2012年5月号に興味深い記事が掲載されていたのです。
寄稿者は、エッセイスト&服飾史家、大学特任教授といった多面的にご活躍されている中野香織女史であります。いつも切れ味鋭い文章には、私自身、爽快感すら覚える気持ち良さがあり、スッキリと結論を転結されるところが好きですね。
雑誌記事では、ジェントルマンとダンディーの違いを歴史的背景を通し、二つの共通点や相違点を明確にしながらも、現代の代表的人物に照射しての中野流モダン・ジェントルマンに着地点を見出すという、興味深い内容でありました。
中野さんの最後の結びには「とりたてて人目をひかない装いなのに、何か違う、とはっとさせられその3秒後に思わず振り返ってしまう。着こなしゆえかもしれないし、目の光だったり、顔の艶であったり、姿勢だったり、気配であったりするかもしれない。」と締めくくります。まさに、私自身が目指す“男磨き像”とモダン・ジェントルマンが一致するものであります。
ゆえに、当世風に生きるモダン・ジェントルマンの装いは、スーツ(ON)では激しい競争社会で戦う戦闘服や武器であると捉え、カジュアル(OFF)では自分らしい充電リラックスウェアとして愉しむという、あまり巷の服装術ばかりに固執し過ぎないスタンスがスマートな生き方。世俗的に言われるいいオトコ・いい大人が目指すべく頂は、やはりオシャレなんだけどそのさり気ない佇まいは自然体である。そんなオトナを目指したいものです。
また、「3秒後に思わず振り返る」とは、なんて絶妙的心理描写な表現でしょうか。元ネタはユナイテッドアローズのディレクターを務める鴨志田康人氏ということらしいのです。3秒後と言ったら歩数で換算したらおよそ五歩目ぐらい。すれ違いざまの一歩目では何かが違うと察知し、三歩目では自分に問いかけ、五歩目で思わず相手との確認作業といった手順で、思わず振り返ってしまうのでしょうか。いやいや、そんな冷静沈着ではありませんよね。
現代のモダン・ジェントルマン達は、組織の中で頭角を現すために磨かなければならないことが沢山あり、生き残るためにも益々大変な世の中であります。社会全体がグローバル化する中で、価値観の多様化と共に変化する“理想の男性像”も百人百様。
私の理想の一つとしては、いつも機智(ウィット)に富んだユーモアセンスで、目の前の難題を乗り越える賢者であります。
いつか街角でダンディーな男性とすれ違い、仮に三秒後にお互いが振り向いて目を合わせることがあれば、「ニコッ」と最高の微笑返しをしたいものですね。
[GQ JAPAN] 2012年 5月号「クールな男」論 前編
[GQ JAPAN] 2012年 5月号「クールな男」論 後編
添付写真:中野香織女史が雑誌記事中で称賛する「サー・ウィンストン・チャーチル」 1874~1965 イギリスの政治家。
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※チャーチル&ヒトラーは、宿命のライバルとして歴史上で語り継がれています。天使と悪魔の対決は、葉巻をくわえたVサインのジェントルマンに軍配があがった。
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