最近のメガネ業界では、ヴィンテージ風やレトロ調といったコンセプトでフレームデザインが復活し出しています。また、俄かに20年前~50年前の正真正銘のヴィンテージメガネ/サングラスを扱うSHOPなるものが活況を帯び、トレンドがヴィンテージブーム到来の予感がします。
ヴィンテージメガネ/サングラス(ここでは20年以上前からのものと定義)には様々が魅力が眠っております。今回はそんなヴィンテージの魅力とやらをちょっとだけ引きだしてみようかと思います。
すでに洋服の分野では古着ブームが訪れ、特にアメカジ・ヴィンテージなどは高価な値段で取り引きされており、デニムはその代表的な存在であります。
では、ヴィンテージメガネ/サングラスの相場はどうかといえば、一部のレア商品を除き、全体の平均相場では現行モデル価格の1/3~1/2程度で売られています。それも未使用といったデッドストックから中古品まで様々とありますが、確実に現行モデル価格よりは低いのは確かです。
そして、ヴィンテージの背景にも年代別に変遷があります。
1950年~1960年代はアメリカンヴィンテージメガネの全盛であり人気を博しておりました。ジェームス・ディーンやマリリン・モンローなどの活躍を機に大衆へもオシャレメガネが普及したのです。当時の代表ブランドでは、タートやボシュロム(レイバン)、アメリカンオプティカルなど数多くのメーカーが挙げられます。
1970年~1980年代は、サングラスが一気に普及し始め、メガネが単なる視力矯正器具には止まらず、洋服に合わせてオシャレメガネを選ぶといったマインドシフトが大衆に起こってきます。それらを牽引した代表ブランドが、クリスチャン・ディオール、シルエット、ダンヒル、ポルシェ、カルティエ、カザール、アラン・ミクリなどのブランド達ではないでしょうか。この時代はまさに群雄割拠といった年代であり、どのブランドも独自性を主張したコレクションラインを発表し始め、各々のデザインを競い合っていました。
1990年前後あたりからは、イタリア&フランスのブランド達が隆盛し、ジョルジョ・アルマーニ、ジャンフランコ・フェレ、ジャン二・ヴェルサーチ、ジャンポール・ゴルチエなどのブランド達が、世界のファッショニスタのハートを掴んで離しませんでした。
2000年代に入ると、どのブランドもこれといった特徴を打ち出せずにいた中、登場してきたのがトム・フォードやルイ・ヴィトンといったニューフェイス達が際立ちます。過去のモードの香りを残しつつ現代風にアレンジするフレームラインが今の時代にぴったりFITし、ある意味、ヴィンテージを上手く進化させたのでした。
総括しますと、ブランドのヴィンテージメガネ/サングラスというのは、実際、普段使いとしてはちょっと派手過ぎるきらいもありますが、当時のモード界の勢いが窺えます。また、その時代のカルチャーも反映されており、モードと密接に連動されていました。
しかし、今ではファッションをあまり堅苦しく分類化せず、エイジミックスを味わうのが主流となり、メガネ/サングラスも自由気ままに掛け遊ぶといったのが今の時代の気分ではないでしょうか。過去の勢いのあった時代の魁作達を愉しむのがメガネ通というものなのかもしれません。
メガネ/サングラスひとつ変えるだけでモードにもサイケにも気分を一瞬にして変えられる。そう、ヴィンテージの最大の魅力は、低価格も然ることながら、当時勢いのあったデザインの息吹を纏う醍醐味がそこにあります。
もし、どこかで気になるヴィンテージを見つけたならば、希少ものが多いので早めにキープしておくのが賢明かと思います。
[メガネ関連コラム]
*メガネコラム① VOL .20 [安本流メガネ選びの極意](2010.07.04掲載)
*メガネコラム② VOL .63 [メガネの未来](2011.08.08掲載)←メガネっぽい日
*メガネコラム③ VOL .78 [メガネエイジレス](2012.07.19掲載)
*メガネコラム⑤ VOL.91 [コレクターのサガ](2013.6.30掲載)
*メガネコラム⑥ VOL.95 [Zoff vs jins 一本勝負](2013.12.08掲載)
*メガネコラム⑦ VOL.102 [メガネで損をしている人の特徴 勝手にランキング](2014.10.12掲載)
*『メガネ選びのすすめ』
*お洒落眼鏡人のコーナー『 眼鏡素敵人(めがねすてきびと)』
*世界的著名人のお洒落眼鏡人のコーナー『 勝手に「眼鏡採集家」』
*ブランド別に分けて考察してみました。『 お気に入りのメガネブランドを考察 』
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添付写真:1993年に作られたB&Lレイバン ギャッツビーシリーズの三型。中古市場では、希少ものと扱われ、当時の販売価格同等の値で売られています。フロント幅が短く、テンプル部分の長さも若干短めに作られているので、顔に合わせるのが限られてしまうという難点はありますが、デザイン性は今風の最先端な逸品ではないかと思います。
【次回予告】 テーマ:僕のデザイン美学を語ってみました。(VOL.81)